保険金と税金《その2》
保険金と税金 《 その2 》
前回《 その1 》で、次のような記載をしました。
!!保険の『契約者』と『保険料負担者』が異なる場合は注意が必要です。
詳しくは《 その2 》でご紹介致します。
今回はこの件について、具体例を使って紹介します。
【具体例】
登場人物 A・・・夫、個人事業主 B・・・Aの妻、会社員
次のような契約形態の保険がある状態で、Aが死亡したとします。
契約者 |
(実質の) 保険料負担者 |
被保険者 |
満期保険金受取人 |
死亡保険金受取人 |
B |
A |
A |
A (保険金500万円) |
B (保険金2,000万円) |
※保険契約の経緯
Aが保険加入を検討した際に、Bの勤務先で団体契約扱いの保険があることを知り、個人で契約するよりも保険料が割安になることから、Bの勤務先を通じて保険に加入した。
勤務先経由の契約であるため、保険料支払いはBの給与から差し引きとなることか
ら、契約者名義を便宜上Bとした。
Bからの保険金請求を受け、死亡保険金が支払われました。
その際に、保険会社は『支払調書』を作成し所轄の税務署へ提出しますが、その
調書に記載されるのは、契約者=B、被保険者=A、保険金受取人=B となります。
税制上、『契約者』とは名義上の『契約者』ではなく、実際に保険料を負担した人、
つまり『保険料負担者』となります。
契約者=保険料負担者であれば、この時受け取った死亡保険金は相続税の課税対象
となります。
保険金以外で財産がなければ基礎控除の範囲内であるため、相続税は0円となります。
しかし、『支払調書』には実際の保険料負担者を記載する箇所がなく、契約者がBと
記載されていることから、税務上はBが契約者として保険料を負担しAの死亡で保険金
を受け取ったと判断されることから、このケースの場合死亡保険金はBの所得税(一時
所得)の課税対象となります。
この場合、次の計算式で算出される課税対象額が他の所得と合算されます。
(保険金)-(正味掛金)-(特別控除50万円)=一時所得
一時所得×1/2=課税対象額
この例は、月額保険料を節約するために契約者をBとしたことが、裏目にでてしまっ
まった例です。
具体例ではご夫婦を取り上げましたが、契約者名義が子の保険に対して親が保険料を
負担している等いろいろなケースが考えられます。
保険料負担者≠契約者の場合、解約返戻金や満期保険金、または死亡保険金等を受け
取ったときに想定外の課税を受けることがあり得ます。
保険料負担者≠契約者である、という事実を証明することができればいいのですが
現実にはむずかしい場合が多いです。
想定外の課税を回避するためにも、保険契約を締結する際には、保険料負担者=契約
者としておくことが、とても大切です。
(参考資料等:平成29年度版保険税務のすべて)
新着情報
- 2018.08.30
- 事業承継税制と株式の担保提供
- 2018.08.01
- 特例事業承継税制
- 2018.05.25
- 生命保険契約に関する権利
- 2018.05.01
- 保険金と税金《その2》
- 2017.10.11
- 保険金と税金《その1》
- 2017.07.12
- 法定相続情報証明制度
- 2017.06.05
- 国外財産に係る相続税・贈与税の納税義務の見直し
- 2017.03.31
- 贈与したはずが相続財産に!?
- 2016.12.19
- 『結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置』
- 2016.10.07
- みなし相続財産とは?