事業承継税制と株式の担保提供
事業承継税制と株式の担保提供
平成30年度税制改正で特に注目を集めている「事業承継税制」ですが、この税制を適用するには、猶予税額等に相当する担保を提供する必要があります。
担保として株式を提供する場合、「株券発行会社」であれば、法務局への“株券”の供託等が必要になりますが、「株券不発行会社」であれば、税務署へ一定の書類を提出すればよいことになっています。
過去に株券を発行したことのない中小企業であっても、会社法上の「株券発行会社」に該当する場合には、法務局への株券の供託等が、株式を担保として提供するための要件となります。
税法から離れますが、株券の発行・不発行について紹介します。
平成18年の会社法施行後に設立された会社は、「株券不発行会社」に該当することが原則とされている一方、旧商法では、「株券発行会社」に該当することが原則とされていました。
旧商法時代から定款変更を行っていない会社は、現在も「株券発行会社」に該当することになります。
「株券発行会社」とは、会社法上、“株券を発行する旨の定款の定めがある株式会社”とされているため(会社法117⑦)、実際に株券を発行しているか否かは関係ないことになっています。
そのため、過去に株券を発行したことのない「株券発行会社」が、法務局への株券の供託等をせず、一定の書類(非上場株式に税務署長が質権を設定することについて承諾した書類等)の提出により株式を担保提供するには、定款変更により「株券不発行会社」になる必要があります。
なお、株式の他に担保として提供できる財産として、次のものが国税庁ホームページに掲載されています。
不動産、国債・地方債、税務署長が確実と認める有価証券、
税務署長が確実と認める保証人の保障 など
事業承継税制を適用して非上場株式の贈与等を検討する場合、どの資産を担保に提供するかも合わせて検討の必要があると思われます。
*参考資料:週刊税務通信№3509(平成30年6月4日)
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